オープンデータが生み出す新しいWebの価値――Linked Open Dataの挑戦

Linked Open Dataチャレンジの実行委員長の慶応義塾大学 環境情報学部の萩野達也教授

インターネット上に公開されたデータをみんなでつなげて、新しい価値を生み出す動きは「Linked Open Data(LOD)」と呼ばれています。この活動は世界中だけでなく、日本でも進んでいるのをご存知でしょうか。

それが、LODの普及を促進するコンテスト「Linked Open Data Challenge Japan 2012(LODチャレンジ)」です。「昨年に引き続き、今年はより多くのエンジニアや開発者に参加してもらいたい」と話す実行委員長の萩野達也教授に、LODがもたらす価値について伺ってみました。

「Raw Data Now」がもたらすハッピーな未来

――Linked Open Data(LOD)とは一体何なのでしょうか。

LODは、生活や社会の基盤となりうる生のデータ(ロー・データ)を、ネット上にオープンに公開しようという考え方です。その際に、形式を統一したデータが多く公開されることで、エンジニアやデザイナーはさまざまなサービスやアプリケーションを開発できるようになります。

――具体的には、データをオープンにすることで、どのような価値が生まれているのでしょうか?

例えば、「税金はどこへ行った?」というWebサイトです。日本で公共データのオープン化を進める有志によって、公開されている横浜市の事業予算データを活用し、税金の用途を見えるようにしています。

例えば年収400万円の人の場合、「納めた税金のうち、1日当たり健康福祉に388円、子育て教育に57円が使われている」といったことが分かるのです。

横浜市が作成している一般会計予算のデータをマッシュアップし、誰もがアクセスできるようになっているんです。このようにデータのオープン化が進めば、エンジニアやデザイナーが新しいWebサービスを作れるようになりますよね。

Webサイト「税金はどこへ行った?」は、イギリスのOpen Knowledge Foundation が開発した「Where Does My Money Go? (英語版)」 がベースとなっている

――データをオープンにしておくことで、開発者やデザイナーがそのデータにアクセスして、Webサイトやアプリを開発できるようになるのですね。

その通りです。LODは、データそのものをオープンにしようという考え方です。ネット上に膨大なデータが公開され、誰もが簡単にアクセスして利用・加工できるようになれば、そこから新しい産業やビジネスも生まれてきます。

――LODについて、より詳しく教えて下さい。

LODは「RDF」と呼ぶ共通の形式で公開されたデータであり、統合や再利用が簡単にできます。簡単に言うと、誰でも二次利用ができる生データということです。

「Raw Data Now(生のデータを、今すぐに)」――。海外では、ティム・バーナーズ・リーがWeb上でのデータ公開を呼びかけ、世界中でLODを使ったサービス開発や研究が行われています。「良質なデータの供給と利用のサイクル」を生み出すものとして注目を集めています。

LODチャレンジ2012、日本で開催

――日本におけるLODの普及に向けて開催されるのが「LODチャレンジ2012」ですね。どのような取り組みかを教えて下さい。

LODチャレンジ2012は、新たなデータを共有する仕掛けや、データの活用アイデアを作品として募集するコンテストです。

異なる分野のデータをマッシュアップした作品や企業がビジネスとして推進している作品、個人や学生が考えた作品を評価し合うもので、誰でもコンテストに応募できます。

LODチャレンジ2012に参加してみたいという方は、こちらの画像をクリック

――昨年のLODチャレンジでは、どんなアプリケーションが開発されたのでしょうか?

LODのチャレンジ2011でアプリケーション部門の優秀賞を受賞した「ミュージアムへ行こう!」は面白いです。

これは施設情報や近隣施設を簡単に調べられる検索サイトです。LODでデータを公開しているサイトから、博物館に関連するデータを収集することで開発できました。

LODによって開発されたサイト「ミュージアムへ行こう!」

LODによって開発されたサイト「ミュージアムへ行こう!」

これまでは、博物館に行きたい人は、アーティストや作品の名前を検索して、博物館を探さなければいけませんでした。しかし、「ミュージアムへ行こう!」を使うと、あらゆる博物館のデータを一気に横断検索できるのです。

LODとしてつながっているデータをたどることで、自分が知らなかった博物館の情報だけでなく、「好きなアーティストの作品は現在どこに所蔵されているか」といったこともすぐに分かります。LODによって生まれた価値の1つですね。

――LODチャレンジに参加するデベロッパーやエンジニアにはどのようなメリットがあるのでしょうか?

一番はLODを通じて「社会の役に立つ」ことを実感できることではないでしょうか。LODで公開されたデータを使ったアイデアやアプリを創出することで、まったく新しい産業を自分たちの手で創出できるかもしれません。

LODに参加する人が増えると、データを使った新たなサービスやビジネスチャンスも生まれます。LODチャレンジへの参加を通じて、「データを公開する文化」を広げる意義を感じてもらえればいいですね。

サイボウズLiveはイベント運営にも使える無料のネットサービス
ディスカッション、ファイル共有からToDo管理、スケジュール管理まで、
チームの情報共有はこれ1つでOKです。
live.cybozu.co.jp

 

メーリングリストでは、情報が整理できなかった

――サイボウズLiveをどのように運用していらっしゃいますか。

LODチャレンジの運営委員会には「チャレンジサイト構築運用」や「技術普及」など、いくつかのワーキンググループがあります。このチームごとにサイボウズLiveでグループを作り、コミュニケーションしています。

運営委員会のメンバー(現在34人)は、「掲示板」「共有フォルダ」「ToDoリスト」「グループイベント」とすべての機能を使っていますね。LODチャレンジの運営に必要なすべての情報が、サイボウズLive上に集約されるのが便利です。

――サイボウズLiveの活用前はどんなツールを使っていらっしゃいましたか?

昨年度のイベント運営には、メーリングリストを使っていました。人数が少ないうちはなんとかやりとりできていたのですが、実行委員が30人を超えたところで、収集がつかなくなってしまいました。

1日に30件以上のメールが飛び交う日もあり、目を通しておかないといけない決定事項などの重要なメールが流れてしまうようになったのです。「誰がどのメールに対応すべきか」が分からなくなるなど、意思疎通もやりにくかったです。

――メーリングリストでやりとりするメール量が多くなると、情報の整理も大変だと思います。

メーリングリストを使って1つのテーマをディスカッションしようとしても、メールが行き交う途中で別のテーマにすり変わってしまうこともありました。また、決定事項を振り返りたくて情報を整理しようとした時も、やりとりが書かれたメールを受信ボックスから探し出すのが困難でした。

メーリングリストでは、議論をまとめたり、情報を整理したりすることが難しかったですね。

オンラインで議論が進み、会議の時間が大幅に減った

――サイボウズLiveを使うことで、情報整理の煩雑さはなくなりましたか?

なくなったと感じますね。特にサイボウズLiveの掲示板は整理に向いていると思います。議論したいテーマを掲示板のタイトルに入れ、カテゴリー分けをすることで、議論の経緯や決定事項が書かれた掲示板をすぐに探し出せるようになったのです。

自分が携わっていないワーキンググループの掲示板は、空いた時間でざっと確認するだけで、経緯を追うことができます。LODチャレンジの運営メンバーが掲示板の使い分けをしっかりとしてくれることで、各プロジェクトの進み具合を簡単にキャッチアップできるようになったと思います。

 

――メンバー全員が同じ画面で整理された情報を確認できる点がメリットだったのですね。

その通りです。メーリングリストを使っていた時は、何度も受信ボックスを検索していたのですが、サイボウズLiveにはカテゴリー分けされた掲示板がきっちりと並んでいます。

あるグループでは20以上の掲示板が立てられていますが、「知りたい」と思った情報が書かれている掲示板はすぐ見つけられます。「グループ内検索」を使うこともありませんでした。

――その他のメリットはありましたか?

LODチャレンジでは月に1回運営担当が集まる会議があるのですが、その会議時間も減ったと思います。

昨年度は、会議の時間にメーリングリストで更新された情報を全員で確認していました。その結果、会議が5時間以上の長丁番になることもあり、効率的ではなかったです。

――今年はサイボウズLiveを使って、どのように会議時間を減らしたのでしょうか?

今年度はサイボウズLiveの掲示板を使い、議論について会議前に意見を出してもらうようにしました。会議の前にオンラインディスカッションが進められるということです。その結果、会議は「確認する時間」ではなく「決める時間」になり、会議時間が大きく減りました

会議で出た決定事項は、その場で掲示板に記載しておきます。これにより、会議に出席できなかった人も、掲示板を見て会議の流れを把握できます。今年はこのやり方で、LODチャレンジの運営がとてもスムーズになりました。

――サイボウズLiveに対して要望があれば教えて下さい。

共有フォルダも使っているのですが、カテゴリーを現在1階層から2階層に分類できるようにしてほしいですね。例えば申請書類というカテゴリーを作り、その下に申請先ごとに使ったデータを保管するカテゴリーが作れるとなると、重要なファイルや資料がすぐに見つけられると思います。

――ありがとうございました。

コメントは受け付けていません。