「リアルタイムアウトプット」で盛り上がる東京ライフハック研究会

3時間もの間、講演者と参加者の間では質疑応答が絶え間なく飛び交い、異様な熱気を放つイベントがある。仕事術をテーマに関東で開催されている「東京ライフハック研究会」だ。2010年に始まり、7度の研究会を実施してきた。驚くべきは、参加者の多くがリピーターになり、研究会に足を運ぶことだ。自ら考え、アウトプットを重ねることで成長したいとする人と思いが集まっているのだろう。

東京ライフハック研究会を立ち上げたのは、モバイル業界でシステムエンジニアを務めている北真也さん。「リアルタイムアウトプットの場」を目指し、勉強会を企画。イベントの運営には「サイボウズLive」を活用している。東京ライフハック研究会の成り立ちや目指す姿、サイボウズLiveの活用法について聞いた。

東京ライフハック研究会が異様な盛り上がりを見せる理由

――東京ライフハック研究会が始まったきっかけは?

北:東京ライフハック研究会のモデルとなる「名古屋ライフハック研究会」に参加した時、素直に「おもしろい」と感じました。僕を含め、ライフハック関連のブログ「Lifehacking.jp」を運営している堀正岳さんのイベントに集まった人たちが仲良くなり、「東京でもやってみよう」という話になりました。当時、エンジニアの勉強会や朝の読書会が流行っていましたが、ライフハック関連の勉強会はほとんどなかったので、東京で勉強会をやりたいとブログに書いたところ、周囲からいい反応があったのです。

有志が集って企画を練り、2011年7月25日に東京ライフハック研究会の第1回勉強会が始まりました。初回から約50人が集まるなど盛況で、今までに「コミュニケーション」や「セルフマネジメント」といったテーマで7度勉強会を実施しています。座学で話を聞くだけでなく、参加者がワークショップを通じて手を動かし、考え、アウトプットをしてもらうことを目指しています。

――私も第7回の研究会に参加したのですが、参加者と登壇者の距離が近く、常に質問が飛び交う熱気あふれた場という印象を受けました。



北:東京ライフハック研究会では、「その場で考えること」「実践的なアウトプットをしてもらうこと」を大切にしています。参加者、登壇者がリアルタイムに質疑応答やライトニングトークを行うなど、勉強会に来たすべての人にアウトプットをしてもらいます。「即時性、瞬発性」が求められる場面が多く、一瞬足りとも気が抜けない勉強会になっているかもしれません。

目指すは「リアルタイムアウトプットの場」です。研究会の熱気があふれているのもそのためかもしれません。特に印象に残っている勉強会は、「東京ライフハック研究会 Vol.4 手帳活用術」です。手帳に関連するガジェットの企画を作るというワークショップで、エアペンで記載した内容を即座にクラウドサービスに同期する「モレスキン 3GS」など、各グループから独創的なアイデアがとめどなくでてきました。企画検討からプレゼン、評価までの40分があっという間に過ぎ去ってしまったほどです。

参加者全員がその場で考え、アイデアを共有し合う。これこそリアルタイムなアウトプットだと実感できましたし、参加者の多くがブログやTwitterで感想を寄せてくれました。東京ライフハック研究会が原点回帰できた瞬間だったかなと思います(12/19 東京ライフハック研究会Vol.4が非常に盛り上がった件 )。そんな経緯もあり、今では通常は5割、多い時では7割の出席者がリピーターとして研究会に参加してくれています。

仕事の挫折、ライフハックで克服

――北さん自身、ライフハック関連のブログ「Hacks for Creative Life!」を執筆し、最近は書籍「新時代のワークスタイル クラウド「超」活用術」も上梓するなど、ライフハック、効率化に取り組んでいらっしゃいます。それも研究会の立ち上げにつながったのでしょうか。

東京ライフハック研究会を立ち上げた北真也さん。「タスクを忘れてもいいように、リマインダをセットしたり、タスクを書きだした手帳を手元に開いておくことは単純かもしれないけど、目的が達成できるのであれば正しいライフハックだ」

北:研究会を始めたきっかけの1つである、「リアルタイムのアウトプット」を通じて、一人でも多くの人にライフハックを経験してもらいたいという思いは、今も変わらず持ち続けています。

これは私自身の経験から来ているものです。社会人3年目の時に、仕事で大きな挫折を経験しました。最初はインフラ系システムエンジニアとして順風満帆に仕事をしていたのですが、新規システム提案という新しい仕事を担当することになりました。

求められたのは、言われた仕事を淡々とこなすのではなく、お客様の課題を解決するためにゼロベースでアイデアや企画を生み出していくこと。当時は答えがまったく見えない仕事だと考えてしまい、やることなすことすべてうまくいかず、精神的に追いつめられていました。

そんな時に出会ったのがライフハックです。もともと仕事術に興味を持っていたのですが、ブログ「Lifehacking.jp」「シゴタノ! = 仕事を楽しくする研究日誌」などを読む中で、「ライフハックは単なる効率化ではなく、物事をスムーズに動かすための試行錯誤の過程だ」という考え方を知り、仕事に生かせるのではと思い始めました。

ライフハックを学び、実践する中で、仕事に生かせる部分が見えてきました。例えば、情報の流れを変えること。これまではWebで興味のある記事だけを読んでいましたが、新聞やRSSを使い、興味以外の情報も目を通すようにしました。大量の情報をインプットすることで、生きたアイデアがどんどん出てくるようになりました。

GTD(Getting Things Done)という考え方にも触発されました。これは、タスクをすべて書き出して頭の中をからっぽにし、優先順位を付けてタスクの抜け漏れをなくしていく考え方。GTDによって、新しい仕事において「自分に何が足りていないのか」「どこから手をつければ仕事が進むのか」を秩序立てて考えられるようになり、混沌とした気持ちが薄れていきました。次第に、お客様が求める解決策を提示できるようになっていったのです。

ライフハック、GTD、タスク管理を学び、実践する中で、仕事の悩みは次第に消えていきました。「ライフハックって神だ!」と思ったのです(笑)。

――気付きを積極的に仕事で活用し、アウトプットを増やしていったのですね。その際に、ライフハックという考え方がぴったりと当てはまった。

北:最初はライフハックを単なる効率化のことだと思っていたのです。でもライフハックは、物事の本質を基礎から考えて、正しいアプローチをすることで、結果的に効率化が生まれるものだということに気付きました。

例えば人間は忘却する生き物です。ゴミを出そうと思っても、当日には忘れてしまう。ならば、溜まったゴミ袋の口をしばり、玄関の目に見えるところに置いておけば、ゴミ捨てを忘れることはありません。GTDやライフハック、タスク管理は「忘れる」という人間の特性を割り切った上で、忘れても思い出せる仕組みを作るというアプローチです。

ライフハックと出会い、GTDやタスク管理を取り入れることで、”仕事でプチ成功体験”を得ることができました。次第に、僕と同じように仕事で困っている人が少しでも楽になってほしいと思うようになり、ブログを書き始めました。自分の体験やノウハウのアウトプットが、ほかの人の役に立つのではと考えていました。

こういった経緯があってできたのが、東京ライフハック研究会です。だから、参加者自身が考えて、アウトプットをしてもらいたい。そのために、参加者にどんどん前に出て発言をしてもらう流れを作りたいと思っています。

掲示板とファイル管理――活用法は意外とシンプル

――東京ライフハック研究会のイベント運営には、サイボウズLiveをお使いいただいていますね。

北:「サイボウズLive」がないと、東京ライフハック研究会は回らない――これが率直な感想です。

主な用途は「ナレッジの蓄積」です。サイボウズLiveでは話題ごとに掲示板をスレッド形式で表示できるため、メールのように情報が流れることはまずありません。新しい運営メンバーが入っても、招待したサイボウズLiveには、過去の経緯がログとして残っていますので、すぐに流れをキャッチアップしてもらえます。勉強会の運営では、過去の手順を参照するので、情報が残る掲示板の活用は不可欠です。

2010年5月ごろからサイボウズLiveを使い始め、今は14人の運営メンバーがグループに参加しています。メーリングリストや「Google Group」の併用、Facebookのグループ機能、「Google Wave」も検討しましたが、「情報が流れてしまう」という点をこれらのツールで解消することはできませんでした。「情報を残す」ことを重視し、サイボウズLiveを使い続けることに決めたのです。

――東京ライフハック研究会の運営にあたり、よく利用している機能はありますか?

北:まずは掲示板で、主に「ホウレンソウ(報告・連絡・相談)」に活用しています。そのほか、研究会のテーマのブレストをしたり、ちょっとしたアイデアを投げてみたり。研究会の振り返りも掲示板を使っており、各々が書き込んだ意見や改善案をすぐに確認できます。メーリングリストだと何往復もしそうなやりとりが、わずか数秒でできるのは素晴らしいですね。

複数の話題(トピック)を並行で進められることも重宝しています。東京ライフハック研究会の企画を考えながら、プレゼンテーション分科会のイベントを進め、時には雑談トピックで息抜きをしたりアイデアを考えたりする。掲示板を別々に立ち上げておくことで、テーマが異なる話も違和感なく同時に進められます。

運営メンバーはサイボウズLiveに毎日アクセスしているわけではありませんし、僕も週に1回くらいしかアクセスしない場合もあります。メンバーが各々のタイミングでサイボウズLiveを見た際に、必要な情報がホーム画面にそろっているので、使いやすいですね。

東京ライフハック研究会の運営スタッフグループの画面

――連絡やディスカッションのために、「掲示板」をお使いいただいているのですね。その他はいかがでしょうか。

北:ファイル共有の用途としても使っています。掲示板に添付したファイルが自動的に共有フォルダにも保管されていくので、これも「ナレッジの蓄積」になりますね。気づいた時にフォルダ内を整理し、みんなで使えるファイルだけを残していく。少しのメンテナンスをすることで、情報共有のしやすさが増します。

主な機能はこの2つで、「ToDoリスト」はほぼ使っていません。メンバーのタスクはGoogleスプレッドシートにまとめ、掲示板で知らせるだけです。ライフハックに通じた人が集まっているせいもあってか、みんな着実かつ早くタスクを遂行してくれます。運営メンバーのタスクを厳密に管理しなくても、みんなが率先してイベント運営に携わってくれるので、とても助かっています。

――研究会の運営に必要な最低限の機能を使っているのですね。

北:はい。掲示板で連絡をして、共有フォルダにファイルを保管するという、極めてシンプルな使い方です。

そうそう、メンバーのお誕生日を祝う際には「メッセージ機能」を使っていました。そのメンバー以外の人がメッセージを使って、「どうやってサプライズしようか」といった話し合いもできました。この機能、めちゃくちゃ使えますね。

老若男女が「ライフハック」を語り続けられる場を

――ありがとうございました。最後に東京ライフハック研究会を今後どのような場にしていきたいか、北さんの展望を教えて下さい。

北:僕はライフハックに出会い、挫折を克服できました。同じように、ライフハックという考え方を実践することで、課題を克服できる人が1人でも増えれば、これほどうれしいことはありません。その軸を今後もぶらすことなく、「ライフハックに関連する人がいつでも帰ってこれる場所」として、長く研究会を続けていきたいです。

まずは10年、20年と東京ライフハック研究会を運営していきたい。僕が50歳、60歳になっても、ライフハックに興味を持つあらゆる世代といっしょに考え、ワークやアウトプットを続けたいと思っています。

そのためには、東京ライフハック研究会のブランドを高めていく働きかけが必要です。知名度が上がり、講演者にも「東京ライフハック研究会で是非話したい」と思ってもらえるようにしたい。オバマ米国大統領が「東京ライフハック研究会への参加、OKだよ」って言ってもらえるくらいになれたら、すごく面白いですよね。

 

 

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